エムブリオマシン ボードゲーム ユドナリウムリプレイ 傭兵団「ダモクレスの剣」

リプレイ

エムブリオマシン ボードゲーム ユドナリウムリプレイ 傭兵団「ダモクレスの剣」

導入

傭兵団「ダモクレスの剣」の団員が見守る中、若き団長サクラの声が響く。

「これから模擬戦を行います!」

その声に反応するかのように、サクラの首につけた起動メダルが輝きだし、サクラの愛機「ファランクス」が戦闘起動を始める。

サクラが3代目の団長を務める傭兵団「ダモクレスの剣」は、ダモクレス共和国の関係者で初代団長だった祖父が立ち上げた傭兵団で、エムブリオマシンが戦闘運用されだした当初から連戦を重ねてきたヴェルム有数の傭兵団だ。

「殺すな、奪うな、裏切るな」という「赤災の掟」を守り続けてきた「ダモクレスの剣」は各国の信頼も厚く、歴戦のエムブリオマシン乗りが多く所属している。

遺跡から得たものや敵から奪ったものなど履歴は様々だが、Aランク以上の装備も多く所持しており、サクラの機体「ファランクス」も、重装甲機体並みの防御力と、ガトリングカノンを中心に隙のない射程を誇るエムブリオマシンだ。
スモークミサイルで有利な状況を作りだす戦術も得意としていた。

団内で行われる模擬戦は団員の実力を知る良い機会だ。

戦闘起動に必要なカルディア鉱石は貴重で、高価。
模擬戦でのその費用は団から出すことになっている。

今回の模擬戦はそれだけの投資に見合ったものになるか。
エムブリオマシンの起動音と団員たちの歓声を聞きながら、愛機の中でそんな貧乏くさいことを考えている自分に笑ってしまうのだった。

エントリーチーム

チーム「薔薇騎士団」

新人団員カレイナルの実力を知るために団長であるサクラと作ったチーム。
名付け親はカレイナルで、サクラは恥ずかしがっている

サクラ 「ファランクス」 FR:L中 in11

サクラ 

名まえ:サクラ
性別:女
年齢:16
設定:傭兵団「ダモクレスの剣」の若き隊長。
エムブリオマシン「ファランクス」と起動キーを残し姿を消した父親の跡を継ぎ団長となる。
若いが実力は確かなものがあり、古参の傭兵たちに支えながら団長業を行っている。

決め台詞

ガトリングカノン「喰らえ!銃弾の槍(ファランクス)!」
ホバー「行くぞー!」
スモークディスチャージャー「私の動き捉えられる?」
高圧縮レーザー「狙い撃つ!」

ファランクス

カレイナル・フォージ 「アルギュロス改Ⅱ」AGAG:M中 in7

名前:カレイナル・フォージ
性別:男
年齢:25
機体:アルギュロス改Ⅱ
設定:旧名門フォージ家の三男。フォージ家のかつての栄光を取り戻すため、量産機アルギュロス改を駆って戦場に身を置く。いつかはカスタマイズされた機体に乗りたいと夢見ている。

決め台詞

ネット:「ふふふ、無様に這いずり回るがよい。」
コルセスカ:「抜刀!!」(低い声で)
バルディシュ:「抜刀!!!」(低い声で)

カレイナル・フォージ 「アルギュロス改Ⅱ」AGAG:M中 in7

チーム「ベテラン」

カレイナルの入団試験の相手を申し出てくれたベテラン傭兵。新団長であるサクラの事も見極めようという思いもあるようだ。

イザック・ナジェラ 「TR改シュトラウス」 TR:M軽 in3

名前:イザック・ナジェラ
性別:男
年齢:37
設定

肉親を殺したEMを追い求めて各地を旅する傭兵。性格は皮肉屋で冷笑的。
先代団長に恩義を感じ「ダモクレスの剣」に関わるものの、面倒見は良くない。
量産機を好みの武装に改装したカスタム機を駆る。

決め台詞

リボルバンカー:当たると痛ぇぞ!
グレネードランチャー:避けた「つもり」で、当たるんだよ。
サウンドウェーブ:喰らいなっ!

イザック・ナジェラ 「TR改シュトラウス」 TR:M軽 in3

ルーシー・オーガ 「LO改ジ・レッド・オーガ」 TR:L軽 in6

名前:ルーシー・オーガ
性別:女
年齢:23
設定
戦災孤児であったが、先代団長に拾われて以来父のように慕っていた。

現団長に対しては強い不信感を持っている。
LO改をカスタマイズした機体を自機として操る。
赤いカラーリングが施された外見とその戦いぶりから「レッド・オーガ」の異名で恐れられている。

決め台詞

追加装甲:「コイツは意外とタフなんだよッ!」
高圧縮レーザー:「アタシの距離だよッ!」
サウンドストーム:「とっておきだ、喰らいなッ!!」
ロケット砲:「土手っ腹に風穴空けてやるよッ!」

ルーシー・オーガ 「LO改ジ・レッド・オーガ」 TR:L軽 in6

登場シーン

サクラ 「ファランクス」 FR:L中 in11 登場シーン

模擬戦のコールを受け団員の歓声が鳴りやまない会場に、突如爆音と噴煙が上がる。

その噴煙の中から現れたのは、緑色の機体。
団員の歓声はさらに大きくなる。
傭兵団「ダモクレスの剣」の団員で、この機体とその乗り手の事を知らないものはいない。

傭兵団「ダモクレスの剣」の団長機として代々引き継がれ、いまは若き団長サクラが駆るその機体。

噴煙の中から現れ、敵を貫くその姿はまさにファランクス!

「ダモクレスの剣の団長をなめないで!」

カレイナル・フォージ 「アルギュロス改Ⅱ」AGAG:M中 in7 登場シーン

ゴルディオス王国で最も多く見られるアルギュロス。
非常にバランスの取れた機体であり、それゆえゴルディオス王国のみならず多くの国で愛用されている。
つまりは「ありふれた」エムブリオマシンといえる。

そのアルギュロスが演習場に姿を現した。銀色のボディが輝いてまぶしいくらいだ。胸には薔薇の紋章が描かれている。

一癖も二癖もある傭兵の多い傭兵団「ダモクレスの剣」ではその機体を見て揶揄する者も少なくない。
『あんなキラキラで戦えるのかよ?どこの坊ちゃん嬢ちゃんの乗るマシンなのかね?』と。

「戦わずして戦力を評価する事のなんと美しくない事か。」
コクピットで男がつぶやく。細面の赤毛の若者である。胸に白薔薇を挿している。ちょうどマシンの紋章と同じ位置だ。
「いいでしょう。このアルギュロス改Ⅱの実力を示すには格好の舞台です。起動。」
エムブリオマシンがゆっくりと優雅に立ち上がる。
「カレイナル=フォージ見参」

カレイナル=フォージ

イザック・ナジェラ 「TR改シュトラウス」 TR:M軽 in3 登場シーン

砂塵を巻き上げてサンドブラウンのEMが動き始める。
脚部が細く長い、見ようによっては滑稽な機体である。しかし、腕に装備されたリボルバンカーは滑稽どころか無骨さに余りある。
「さて、今日も倒れる前に倒せるかね・・・」
「先代に世話になった分だけは働かねぇとな、と、アレか。近づきづらそうだねぇ」
「さて、いっちょはじめるかね」
散歩に行くかのような気楽さで、機体を前に進ませた。

ルーシー・オーガ 「LO改ジ・レッド・オーガ」 TR:L軽 in6 登場シーン

砂煙と歓声の中、その機体は現れた。
全身に返り血を浴びたような真紅のボディ、無骨な金棒のような形をした特徴あるヒートソード。
その機体と戦場で相まみえた者は畏怖の意味を込めてこう呼ぶ、「ジ・レッド・オーガ」。

「今日の相手は・・・団長とどこの馬の骨とも分からない落ちぶれ貴族かい?」
「ハンッ、まぁそもそもアイツが団長なんてアタシは認めてないけどね。」
「認めて欲しけりゃその実力、この戦いで見せてみろッ!模擬戦だからって手加減はしないよッッ!!」

ジ・レッド・オーガのコックピットで【ルーシー・オーガ】は咆哮した。
戦いの幕は開ける・・・

開始位置

1ラウンド

ルーシー・オーガの方向を合図に一斉に各機体が動き出す。

射撃戦を狙うファランクスは、射線をふさがない位置に向けて動き出す。
ベテランチームは距離を確実に詰めてきた。

この戦いの嚆矢となったのは、冷静に照準を定めていたアルギュロス改のガトリングガンだった。いくつもの弾丸がジ・レッド・オーガに向かいその一部は確実にその威力を発揮し、高圧縮レーザーの機能の一部をつぶす。
白兵主体のアルギュロス改Ⅱにとってこれ以上ない成果だ。

1ラウンド

2ラウンド

バーニアが唸りを上げシュトラウスが舞い上がる。
戦場の防壁の中に飛びこむ。
地形を活かしたベテランらしい動きだ。

その間も激しい射撃戦が繰り広げられていた。
アルギュロス改Ⅱの短距離ミサイルを、ジ・レッド・オーガが巧みな位置取りで被害を抑え、反撃の高性能ロケット砲をアルギュロス改Ⅱがプレートで軽減する。
まさに一進一退の攻防。

近づき必殺の一撃を加えたいアルギュロス改だったが、防壁がその行く手を阻む。
足止めされるアルギュロス改Ⅱに、ジ・レッド・オーガの高圧縮レーザーが襲い掛かる。

新人のアルギュロス改にまさにベテランの壁が立ちはだかっていた。

2ラウンド

3ラウンド

防壁の周辺で各機体の位置取りは続いていた。
離れた位置で戦場をみるファランクス。
その強力な射撃武器をベテランチームは意識しないわけにはいかなかった。
その思いを見抜くかのようにファランクスがスモークミサイルの暑い煙の中に消える。

各機体射撃や白兵でけん制しつつ、乾坤一撃の機会を狙っていた。

第3ラウンド

4ラウンド

位置取りを制し、アルギュロス改Ⅱが防壁を超えてシュトラウスを短距離ミサイルの射程おさめた。
反撃の狼煙となるかと思われたその一撃をかき消すかのように戦場に大音響が響き渡る。
機体の操作に使用をきたすほどの音響兵器。
ジ・レッド・オーガのサウンドストームだ。
「とっておきだ、喰らいなッ!!」
自分の機体の咆哮を聞きながら、ルーシー・オーガもまた吠えていた。

4ラウンド

5ラウンド

大音響が支配する戦場をジ・レッド・オーガが駆け、動きの鈍ったアルギュロス改Ⅱをシュトラウスのグレネードランチャーがとらえる。

そのベテランチームの連携をファランクスの中で団長であるサクラは見つめていた。
「この音の嵐の中、さすがにふたりは冷静な動きね」

微動だにしない団長の機体に、ルーシー・オーガの苛立ちはつのっていた。
「あの野郎、何企んでやがる・・・」
そうつぶやきながらも、目の前の獲物であるアルギュロス改から視線が離されることはなかった。

「入団テストとはいえほぼ2対1だな。ふっ」
そんな余裕とも愚痴ともとれる言葉をつぶやきながら、冷静に短距離ミサイルでジ・レッド・オーガに叩き込んだアルギュロス改Ⅱがその視線の端に目をとめたのは、ジ・レッド・オーガの象徴の一つでもある高圧縮レーダーの銃口がこちらに向けられた姿だった。
赤き閃光がその銃口から放たれる!
戦いの趨勢を左右する一撃だったが、ジ・レッド・オーガとアルギュロス改Ⅱの間にあった防壁に阻まれる。
あと一歩踏み出し射線にのせていたら、間違いなくアルギュロス改Ⅱを貫いていただろうその一撃は、防壁の一部を破壊しただけだった。

5ラウンド

6ラウンド

大音響が去った戦場に新たに鳴り響いたのは、ファランクスのホバーの推進音。
アルギュロス改の横に寄り添うようにベテランチームの機体と対峙する。
シュトラウスのグレネードランチャーに捕えられる危険性もある危険な位置だ。

「喰らえ!銃弾の槍(ファランクス)!」
やっと出てきたもう一つの獲物の動きに対応するべく対峙していたジ・レッド・オーガのシールドを、ファランクスのその名の由来ともなった銃弾の槍が砕く。

「布石は打てたかな。あとは新人さんが耐えてくれるか」
そういうサクラの駆るファランクスをかすめて、アルギュロス改Ⅱに向かい、シュトラウスから高圧縮レーザーの閃光が伸びる。
激しい光の中、シールドで防いだアルギュロス改はシールドを放り出し、コルセスカを構える。
「抜刀!!」
低い声でそう言い、ジ・レッド・オーガを貫くアルギュロス改がそこにはあった。

6ラウンド

7ラウンド

大きな損害をだしたベテランチーム。
体制を立て直そうと距離をとったシュトラウスを駆るイザック・ナジェラに、ボロボロになりながらも戦場で敵チームと対峙する僚機ジ・レッド・オーガの姿が映った。
最後の最後一番のベテランであるイザックが読めなかったのは、ルーシー・オーガの傭兵としての矜持だったのかもしれない。

「ルーシー姉さんは引かない。私や新人の前でカッコ悪いところはみせないんだ」
そういって同じく立ち止まったファランクスの後方でジ・レッド・オーガが放った起死回生の高品質ロケット砲が炸裂する。
その攻撃はベテランチームの勝利にあと一歩届かなかった。

「そして私の相棒がこの隙をみのがすことはないの」
カレイナルがその名に恥じない動きで、コルセルカの槍先を切り替えしオーガに迫っていた。

新人のテストを兼ねた模擬戦は、新人の鬼退治でその幕を閉じた。

7ラウンド

エンディング

「ふぅ、何とかしのぎましたね。」
アルギュロス改から降りてきたカレイナルは自慢の赤毛を汗まみれにしながらそうつぶやいた。
「戦いの汗は美しい」
そういうカレイナルにサクラが近づき右手を差し出す。
「ようこそ傭兵団へ」
その手を握り返し、
「お世話になります」

握手を交わすサクラたちにベテランたちの声も届く。
「ちっ、思ったよりやるじゃないか。アタシもヤキが回ったもんだね・・。」
ボロボロになった愛機を見上げながらルーシーがぼやく。
「ちっ装甲の使い方ってもんを知ってるじゃないか。やるな、ありゃ」
イザック・ナジェラらしい冷静な分析も聞こえてくる。

今日は模擬戦ということで対峙してしまったが、新人もベテランも、傭兵団「ダモクレスの剣」の大事な仲間だ。

「まぁ明日からはみんな隣にならぶのだから」

サクラは満足そうに言うと、新たな一歩を踏み出すのだった。

プロッティングレコードシート