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アルシャードガイアプレイレポート「63年目の亡霊」

2008年3月のしろくまさんの例会のプレイレポートです。

ぎんざめさんのアルシャードガイアでPC1をやりました。

キャラクターとしてのおかれた立場や行動と、プレイヤーとしてのメタな知識や情報の狭間で、ロールプレイは大変だったのですが、前回のエンゼルギア同じく、PL経験値をつませていただいた楽しいセッションでした。

来月はアルシャードガイアでGMもやってみたいなと思っていたので、今回のセッション参考になりました。


予告

冬のN市郊外で起こる深夜の連続殺傷事件、そして季節外れの怪談「日本兵の幽霊」。
その陰で、妖妃が邪悪に嘲う。
事件を追うクエスター達はその果てに、深く昏い人の業を垣間見る。

アルシャードガイア「63年目の亡霊」

蒼き星に、また奇跡が生まれる。

63年目の亡霊

キャラクター紹介

まずはキャラクター紹介。

PC1:天野 ヒカル
クラス:ホワイトメイジ/サマナー/レジェント
瑞珠学園の2年生。面倒見がいい性格で、何でも屋みたいなことを学園でやっている。
今回は、クラスメイト高遠るい子の依頼で祖父治五郎の行動を監視することになる。
プレイヤーは、たぐっちゃん。

PC2:中村 明人
クラス:スカウト/OVL:フロムヘル
冥府からの生還者。善行を積むため復活してきた。
今回は"迷宮のムロさん"こと室井庄司の依頼で連続殺人の犯人を追うことに。
プレイヤーは、輝剣さん。
ダンディプレイでストーリーを進行してくださいました。

PC3:吉祥寺 哲
クラス:ダンピール/ファイター/ソードマスター
"妖妃"モルガナにすべてを奪われた過去を持つ男。
N市郊外で起こる深夜の連続殺傷事件にモルガナの
プレイヤーは、ヤマモト56さん。
5ヶ月連続で卓をご一緒させています。
モルガナ関連のイベントでダークヒーロー的活躍をされていました。
名前の元ネタはギャバンだと後でお聞きしました。「蒸着」というやつです。

PC4:九尾 みかげ
クラス:アルケミスト/フォックステイル/ブラックマジシャン
フォックステイル3姉妹の次女。
今回は来嶋牡丹の依頼で盗まれた軍刀の行方を追うことに。
プレイヤーは、ロストナンバーさん。
フォックステイルらしいトリッキーかつコミカルなプレイは、重いテーマのセッションのなかで一服の清涼剤でした。

プレイレポートは、ヒカル視線で書かせていただきました。
メンバーの方ご了承ください


プレイレポート

-オープニングフェイズ 何でも屋ヒカルの何気ない日々-

「祖父の行動を監視する手伝いをして欲しいの」

親友の高遠るい子がそう声をかけてきた。るい子は派手な見た目で誤解を受けやすいが、心の優しい女の子。数週間前に大好きなおじいさんが退院してきたと嬉しそうに話していたことをヒカルは思い出していた。

彼女な話を要約するとこういう感じだった。
祖父高遠治五郎は末期がんに侵されて、後は死を待つばかりだといわれていた。それがほんの数週間で完治し、すっかり健康体になって退院してしまった。そしてそれ以来、奇妙な振る舞いをするようになったという。
家人が寝静まった深夜、どこかへ出掛けているらしいのだ。
るい子は一度後を追ったものの見失い、そして祖父は翌朝には普通に帰ってきたそうだ。
今度こそ、祖父が何をしているのか突き止めたいので、友人で学園で何でも屋家業をしているヒカルに声をかけてきたのだった。

「最近連続殺傷事件の話もあるし、心配だね・・・まかせて何でも屋のヒカルちゃんが手伝うよ!」

報酬はカラオケフォーチュンのスペシャルパフェ!そんなに大変な依頼になるとは思うこともなく、夜に備えてヒカルは授業中惰眠をむさぼっていた。

-PC1:ミドルフェイズ1 深夜の追走劇-

マナーモードにしていた携帯が一度だけ軽く揺れた。るい子からの合図だ。
ヒカルは電信柱の陰に隠れながら気合を入れなおしていた。

玄関がそっと開き、祖父治五郎が姿を現し、町のはずれの峠の方に歩き出す。
その歩みは老人とは思えないしっかりしたもので、後ろをついていくヒカルやるい子にとってもかなり大変な作業だった。

「この前はここら辺で見失ったのよ」

るい子がそう声をかけたのと前後して感じる違和感。結界の気配。

結界のためか治五郎のことを認識できなくなったるい子を、お祖父さんは家に戻ったのかも、となだめすかし家へと帰るよう促すヒカル。
その間も治五郎は歩み続け、ヒカル自身も治五郎を見失ってしまう。

治五郎を探すヒカルは、空腹のため倒れていたみかげ、連続殺人犯を追う明人、モルガナを追う哲と出会う。

情報交換をする一同。そのとき移動する奈落の気配を感じる。

-PC1:ミドルフェイズ2 過去から来たもの-

奈落の気配の方へ向かう一同は、遠くの方に軍刀を構え軍服姿の男の姿を捉える。

男の向かう先には、峠にたむろする暴走族のメンバー数人。

パーン!パーン!

乾いた音が響くなか倒れる暴走族のメンバー。

一同が到着した頃には、周辺は血の海。
男は血の滴る軍刀を構えながら
「今日は終わりだ」
絞り出すような声でそう言い放ち闇に消えていく男。

ヒカルはその横顔に見覚えのあるような気がしていた。

-PC1:ミドルフェイズ3 思い出のアルバム-

「ごめん、ごめん。もう一度作戦練り直そうよ。今日るい子の家に行ってもいい?」

昨日の顛末にがっかりしていたるい子を宥めながら、ヒカルは昨夜の事件のことを思い出していた。

一度るい子の家に行ってみよう。確認したいことがヒカルにはあった。

放課後、るい子の家を訪ねるヒカル。
るい子の家には、祖父治五郎の姿もあった。

「るい子お友だちかい?」
そう声をかける治五郎。その瞳はとても優しく、そしてどこか寂しそうだ。
ヒカルを紹介するるい子。それはどこにでもある家族団らんの風景。
これから自分がやることは、この何気ない幸せを奪うことになるかもしれないのだ・・・

「るい子、お茶菓子でも買ってきなさい」
ヒカルの悩みを知るかのように、るい子を外出させた治五郎。
部屋の奥の方からアルバムを持ち出してくる。
アルバムを広げながら、家族の話を懐かしそうに話し始める治五郎。

アルバムの写真は、最近の写真から、るい子の小さい頃、るい子の両親の結婚写真というふうに過去に遡っていく。
アルバムを前にぽつぽつと語りだす治五郎。

「私は貧しい農家の五男坊で食べていくために軍隊に志願しました。中国の方に行ったのですが、そこでの戦闘は本当に悲惨なものでした 」

治五郎の口から語られるのは、便衣隊という言葉。まわりすべてが怪しく思え、罪もない市民を殺してしまった日々。

「殺さなければ殺されるそんな日々。最後の方は感覚も麻痺していたような気がします。戦争が終わったときは本当に安心したものです 」

「悲しい時代だったんですね・・・」
授業で習うことの無かった真実のひとつ。ヒカルはるい子のことを思い浮かべながら必死に声をかける。

「そんな悲しい経験をしたからこそ、幸せになりたいとか、こんな平和な時代になりたいとか祈るような思いがいっぱい集まって、いまこの日々が続いているのかなって私は思います」

そんなヒカルをまぶしそうに見つめながら、治五郎は一番古いアルバムを開き始める。

「人間死の間際になると妙な事を考えるものですね。あんなに忌み嫌っていたあの頃に戻りたいと考えるなんて。私は悪魔の声に耳を傾けてしまったわけです」

「私は結局弱い人間だったわけです」

そこには軍隊時代の治五郎の姿。

それは昨夜の軍服姿の男そのものの姿だった。

「もうるい子のそばに帰ってくることはできないんですか?」
治五郎の瞳を見つめながら問いかけるヒカル。
その声に答える暗い決意の声。

「決着をつけましょう。今夜12時河川敷でお待ちしています」

帰宅したるい子と過ごしながら、ヒカルはまだ悩んでいた。

-PC1:ミドルフェイズ4 せめて人間らしく-

「なるほど・・・では治五郎さんがこの事件最後の犠牲者として扱われることになるな」
明人の口から語られる言葉は、クエスターとして当たり前の反応。
奈落に落ちた治五郎を狩るということ。

明人のセーフティハウスに集まり情報交換する一同。
ここにいたってもヒカルはその思いを決められないままでいた。

「私は身体も心も元気な高校生で、戦争だって体験したことが無くて、どうして治五郎さんがこんなことを始めたのかわからない」

「正直るい子のことを考えるとどうしたらいいかわからない・・・」

「吉祥寺さんのように、一度奈落に落ちてしまった罪を購うためクエスターとして活動している人もいる。簡単に倒す倒さないじゃない選択肢があるのだとしたら私はその方法を探してみたい」

正直に自分の思うことを話すヒカル。

「私も昔モルガナの策略にのり、奈落に落ちた。その償いはずっと続いてくと思っている。でも治五郎さんによって被害者はこれからも増えていくことだろう。君がるい子さんを大切に思っているようにその被害者の人にも大切な人たちがいるはず」

「敵の前に立つときは、悩みは捨てておくことだ」

るい子との待ち合わせの時間。電柱に隠れながら親友同士の二人は話し続ける。

「昼間おじいちゃんと話したんだけど、優しいおじいさんだね」
おじいさんのことを優しく話するり子。

「たとえばるい子は、自分の大切な人が間違っていることをしていて、それをとめることで悲しむ人がいるとしたらどうする?」

「それは絶対とめるよ!もしヒカルが間違ったことをしようとしていたら身体を張ってでもとめるよ!」

かえってくるまっすぐな瞳と答え。

気分が悪そうなヒカルを気遣い、今日の作戦の中止を決め自宅へ帰るるい子を見つめながら、治五郎とまっすぐに向かい合うことをヒカルは決めていた。

-PC1:クライマックスフェイズ 彼と彼女の事情-

約束の時間河川敷。
老人の姿でたたずむ治五郎の姿があった。

「もう話すことは無いでしょう」

「この軍刀と同じく私も血を欲する存在」

そう言い放ち軍刀を抜き構える治五郎。その姿はどんどん若返り軍服姿に変わっていく。

親友の元に大切な人を返すため。
冥府に死者を送るため。
モルガナの犠牲を減らすため。
呪われた軍刀を滅ぼすため。

治五郎に向き合う一同。

みかげのチャンバーウェポンから氷の弾丸が飛び出し戦闘は開始された。

軍刀を振るい、加護の力を使い強力な力を振るう治五郎。
軍刀も自らの意思を持って襲い掛かる。

クエスターたちも持てる力を加護を駆使して立ち向かう。

総力を尽くした死闘の中、治五郎は倒れ、軍刀も砕け散る。

結界は消え、ススキの揺れる静かな河川敷。

老人の姿に戻った治五郎。死の間際の人特有の雰囲気。

憑き物の落ちたような表情で、静かに語りだす。

「遅すぎた戦死。これが私の望みだったのかもしれません」

-PC1:エンディングフェイズ 彼女の隣で-

数日後、治五郎さんの葬儀のあと。

るい子の隣にヒカルの姿があった。

「結局おじいちゃん死んじゃった。やっぱり病気治ってなったみたい。最後の時間を私たちと過ごしたかったのかな・・・」

「るい子のおじいちゃんとお話したけど、とても楽しそうにるい子のことを話していたよ」
「おじいさんは多分とってもやさしいひとだったんだよ」
「おじさんにはどうしようもない大きな力があって、悲しい思いやつらい思いをいっぱいして・・・」
「それでもるい子がそばにいてくれて、おじいさんは幸せだったと思うよ」

ヒカルに向き直りその胸に顔をうずめるるい子。
「ごめんいまだけ胸かして・・・」
ヒカルの胸の中で泣きじゃくるるい子。その背中にそっと手を回しながら、自分に言い聞かせるようにヒカルは話し出す。

「わたし今回いろいろあったけど、これからも何でも屋続ける」

「人を助けるのが大好きだし、そんなわたしを助けてくれる人たちや、大好きな人たちがいっぱいいるもの」

「もちろんるい子もその中のひとりだよ」

重なるふたりの泣き声。

蒼き星の上、起きたひとつの悲しい事件。

これからもいろんなことがあって、いろいろ悩んだり悲しんだりすることもあるんだと思う。

でも誰かを助ける力がこの手にあるのだとしたら、また誰かのためにこの力を使いたい。

クエスターとして、何でも屋ヒカルとして!

これからも!


感想

PC1は初挑戦だったのですが、シナリオの方向性と合わさって常に悩める女子高生状態でした。

友人のるい子や祖父治五郎とのからみも、GMのぎんざめさんの手腕もあって本当に相談にのったり秘密を打ち明けられた気分になってしまって、かなり感情移入してしまいました。

数時間のセッションですがかなり濃い時間を過ごした感じでした。

アルシャードガイアは、勧善懲悪的なセッションが多く、PCとしてもクエスターの使命である奈落を狩る、ブルースフィア(地球)を守るというモチベーションのもとロールプレイの方向性やシナリオの流れもわかりやすいセッションがほとんどでした。

今回のシナリオは友人の祖父が犯人であることと、それに至った経緯が高校生であるヒカルには理解しがたいものだったといこともあり、PLである私自身も本当に悩んでしまいました。

PLさんの中には、シナリオを先読みしてアドバイスする方もいましたが、なんか違うような気がしたんですよね。
メタ的な発想をどこまでロールプレイや選択の基準にするかは難しい問題ですよね。

PLとしての私は、ある程度シナリオの流れやシステムの性質もわかるのでそれにそった行動もできるわけですが、ガイアを使った無理やりなハッピーエンドでなく「等身大の高校生」として友人の悲しみを受け止めるラストを迎えられたことは個人的には満足しています。

卓を囲んでいたくださったみなさんありがとうございました。

2011年7月 4日 20:52